LEDって何?

2024年7月14日

私たちの身の回りにある照明には、主に白熱灯、蛍光灯、そしてLED照明があります。
その中でもあっという間に普及し、身近なものになっていったLED照明。
でも、LEDって何だろう?どうして、白熱灯や蛍光灯があるのに、LED照明がこんなに普及したのだろう?

今回は身近にあるけれど、意外とわからない事だらけのLEDについてご紹介いたします。

LEDの歴史

LEDとは、Light Emitting Diode 頭文字をとったもので、日本語で「発光ダイオード」を意味します。
1993年に明るい青色発光ダイオードが実用化され、1996年に黄色の蛍光体と組み合わせて白色に光るLEDが完成して以降、照明用として注目されるようになりました。
そして、2011年3月の東日本大震災以降、電力供給の不安定要因もあり節電意識が高まり、市場への普及も加速し、私たちの生活にも身近なものとなっていきました。

白熱灯との違い

以前LED照明が普及するまで、家庭用で主に使われていたのは白熱灯(白熱電球)です。
ここからは白熱灯とLED照明の違いを見ていきましょう。

1.消費電力

白熱灯は、フィラメントと呼ばれるぐるぐると巻かれている金属の中を電子が通るときに摩擦が起こり、その熱で発光させています。使われる電力のほんの一部が光を出すことに使われ、大半は熱になるので、点灯している白熱電球は、触ると危険なほど熱くなるのです。
対して、LEDは点灯させる為に使われる電力のほとんどを発光させる為に使い、あまり熱を出しません。
このことが、白熱灯とLED照明の消費電力の違いに現れてきます。同じ程度の明るさの白熱電球とLED電球を比較してみたときに、流れてきた電力のほとんどを光に変え、効率よく少ない電力で明るくすることができるLED電球の方が、消費電力が低くなるという事です。

2.明るさの単位

明るさの目安として多くの人が理解しているW(ワット)。白熱灯の明るさの表現としても使われています。
W(ワット)とは、正確には消費される電気エネルギー、つまり消費電力を表わしています。
消費電力が圧倒的に小さいLED照明の明るさの表現は、lm(ルーメン)。lm(ルーメン)とは、光の量、明るさを表す単位で、数値が高いほど光の量が多くなるため、明るくなります。

ところが、明るさを判断する単位が違うと購入する際に困ってしまうもの。
それを解決するために白熱灯に相当する明るさを持っているLED照明は、「〇W(ワット)相当」「〇W(ワット)形」などと記載されていることが多いです。

LEDの光の特徴としては、指向性が高いという特徴をもちます。
一方向を明るく照らす力が強く、全ての方向を満遍なく照らす力に欠けていると言われています。
照明として使用されるLEDの光はそういった問題点が改善されてきているものの、白熱電球からLED電球に変えた場合などには、同じ明るさのものを選んだつもりでも、暗く感じる事がありますので、光の広がりなど明るさだけではない仕様も確認した上で、お選びいただくと良いと思います。

3.色温度

白熱灯の色温度は、約2700Kで温かいオレンジ色をした光の色で「電球色」と表現され、光の色を選ぶことはできませんが、LED照明は、「電球色(2700~3000K)」「温白色(3500K)」「白色(4000K)」「昼白色(5000K)」「昼光色(6500K)」など光の色を選ぶことができます。

色温度とは、光の色味を表すひとつの尺度の事を言い、物体が高温に熱せられると光を放射し、温度に応じて光の色が変わる事を利用して、光の色を数値化したものです。 単位はK(ケルビン)。
色温度が低いほど、オレンジ色のような赤味を帯びた色となり、色温度が高くなると青っぽい色になります。

私たちの生活でも早朝は3500K、昼間6000K、晴天の空は12000K、曇天の空は7000K、夕日は2000~3000Kと変化していきます。
私たち人へ与える心理としても、色温度の高い光は、自律神経の交感神経に働きかけ、逆に色温度の低い光には心身をリラックス状態に導く効果があると言われています。

夜も照明で明るく照らされている環境で生きている私たちにとって、色温度を選べるという事は、部屋の印象を変える事だけでなく、その空間で過ごす私たち自身の心理効果も期待できるという事です。
そして、どの色温度にするか、という選択だけではなく、時間、気分によって色温度が変えられる「調色機能」を持っているLED照明もでてきており、その時々のシーンなどによって光の色を変えていくという選択肢も出てきています。

LED照明の特徴

今までご紹介してきた内容も含めたLED照明の特徴をメリット、デメリットでまとめてご紹介します。

メリット

  1. 寿命が長い
  2. 消費電力が低い
  3. 紫外線・赤外線をほとんど含まない
  4. 低温でも瞬時に点灯する
  5. 虫が寄りにくい
  6. 熱くならない
  7. 環境にやさしく、水銀や鉛など環境負荷物質も含まない

デメリット

  1. 熱に弱い
  2. 白熱灯などから変える際に暗く感じる事がある

 

今回は、LEDについてご紹介しました。
照明をLEDのものに変えるだけで、長寿命になり消費電力を下げられることから節電、節約につなげられます。
メリットが多いLED照明ですが、デメリットも少なからずあることも理解して取り入れていくことで、また一つお気に入りの空間を増やしていってもらえたら嬉しいです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回は、照明器具の天井取付方法 わかりやすく解説です。
私たちと照明を楽しみながら、照明を味方につけて、ライフスタイルやその空間で過ごす人たちに寄り添った居心地の良い空間づくりの参考にしてみてください。

About me

髙山 明香
La it -Lighting Design Office- 代表
建築設計事務所、メーカー、照明代理店と勤務した後、2020年La it -Lighting Design Office-を設立。
照明デザイナーとして、照明計画を中心に空間デザインを手掛ける。